トップページ > クローズアップ現代の取材の体験談

「ワクチンが打てない ~遅れる日本の予防接種~」 (NO.2975)の取材    

    予防接種        デモ行進

   矢印38 内容紹介         NHK クロースアップ現代(2010年12月6日(月)放送


  海外では全ての子どもに無料でうつのが当たり前のワクチンが日本では使えない、数万円の費用が壁となり接種率が上がらない、など、日本の予防接種は他の先進国より20年遅れていると言われている。このためポリオにかかって手足がマヒしたり、肺炎球菌やヒブに髄膜を侵され命を失う子ども達が後を絶たない。かつてはワクチンを積極的に接種していた日本が、なぜ「遅れた国」と言われるまでになったのか?背景には、副作用問題にゆれてきた過去やワクチンの効果を検証する体制の不備があるとみられている。社会の将来を担う子ども達を大切に育てるには、今、何が求められているのか?事実上の義務化を進める欧米の事情も取材し、ワクチン問題解決の方策をさぐる。(NHKのHPより)
写真左、当院での接種(2010.11.19)、写真右、都内でのクチン要求デモ(2010.10.14)

 11月4日に国立成育医療センター小児科の齊藤昭彦先生からメールが届いた。「現在、NHKのクローズアップ現代という番組の取材を受けておりまして、その中で、実際の臨床の現場での任意接種の問題点ということで、実際の外来での対応についてお知りになりたいとのこと、先生のお名前をあげさせて頂きました。つきましては、NHKの細田さんという方から、連絡が行くことがあるかもしれませんが、宜しくお願い致します」と。
 11月5日NHKの細田ディレクターから電話があり、臨床現場での取材をさせて欲しいとの依頼があった。日本がいつの間にかワクチン後進国になっていて、他の国では接種できるワクチンが認可されていなかったり、市販はされていても接種率が低く、ワクチンで予防できる疾患にかかって死亡したり重い後遺症を残したりする事例が後を絶たないことなどをご存じで、今回のテーマは「遅れた日本の予防接種」を取り上げたいとの意向であった。接種現場で医師と親への取材を通して問題点を探りたいと。
 11月18日、当初は午後に取材の内容を詰める予定であったが、飛行機がほとんど満席状態であり朝の1便で出雲に降りて、その足ですぐに当院へ。細田さんの他に女性カメラマンと録音&照明の男性の3人のスタッフが来院。まずはスタッフが当院の雰囲気に慣れるために診察室に一人ずつ陣取って診察を観察し、各自がどの位置にいればよいのかを検討。
 その間、出雲市役所の予防接種担当にも取材を申し込み、翌日の午後の予約を取る。
 日本の現状をディレクターと情報交換し、あらかじめこちらで準備した資料を提供した。
 診療中での撮影は金曜の午前中だけの予定であったが、帰りの飛行機が取れず、土曜の午後の便で帰京することとなり、更に土曜の午前中も撮影が入った。土曜日はインフルの予防接種でほぼ丸一日が費やされるためほとんど収穫はないはずだったが、それでも午前中に何人かのインタビューも入った。
 
 ワクチンの遅れを示す状況の一つには都会と地方の経済格差が接種率の差にもなって健康格差が生じている。その裏付けには1社しか販売していないワクチンで都道府県別のデータが収集されていることが必要になる。幸い某社が協力してくれてデータを提供してくれることとなった。本来、県別の出荷本数は企業秘密に相当するそうで、すべてを公表するのは問題があり、結局個人所得の上位5県と下位5県を比較することとなった。その方がインパクトもある。結果的には島根県の所得が下位から7番目のために7番目までグラフに出ることに落ち着いた。
 ヒブワクチンは1回が7,000~8,000円、肺炎球菌(小児用)は1回が10,000円前後となり、4回接種すると子育て世代の親の負担が大きく、敬遠されがちとなる。
 一方では無料であるにも関わらず病気への理解が乏しいために中1、高3のMRワクチンは接種率が70~80%台に低迷している。経済的な負担だけで接種率が左右される訳ではないが、接種をしたくても負担が重く半ばあきらめるケースも多い。
 また、海外では普及しているのに日本では認可されていないワクチン、開発が遅れているもの、輸入が見送られているものなど、20年以上の遅れが今後更に拡大していくことも今後の課題である。副反応訴訟で行政が萎縮したり、認可の体制が貧弱で時間がやたらかかったり、積極的に接種を勧める健康教育が不十分であったり、様々な問題点があるが、当院では経済格差が健康格差につながる事例を中心にした取材であった。
 コメンテーターには日本の予防接種では第一人者の神谷齊先生が出演され、番組の最後に今後の課題に向けて、ACIP(米国での予防接種諮問委員会)の日本版を紹介される予定であったが時間切れで説明がわかりにくいものになったのが残念だった。後日、神谷先生にお会いした時、裏話を聞かせてもらった。リハーサルでは時間があってきちんと説明できたが、本番では残り1分20秒の1分が眼鏡を外していたら見えなくて残り20秒と勘違いしてしまったと。
 今回は視聴者に「日本は予防接種が先進国ではなく遅れていること」をアピールする第1段であり、今後どうしたらよいかを考える第2、第3段の企画をじっくりと練り上げていくことを要望した。

トップページ医院案内案内図(地図)診療案内予防接種のスケジュールB型肝炎ワクチン接種で肝炎と肝癌を予防水痘(みずぼうそう)と帯状疱疹狂犬病とワクチン風疹についてポリオとポリオワクチン院長紹介医療お役立ちリンク集「新型インフルエンザ」一口メモ